2013年09月28日

夢の「引退」は過去のものか、パートでハンバーガー焼く77歳




夢の「引退」は過去のものか、パートでハンバーガー焼く77歳



9月26日(ブルームバーグ):まるで別人の人生だ。トム・パローム氏は会社員としてのキャリアの絶頂では十数万ドル(およそ1000万円台前半)の年俸を稼ぎファーストクラスの飛行機で欧州出張もした。
電動歯ブラシ、オーラルBのマーケティング担当バイスプレジデントだった同氏は77歳になった今、二つのパートタイムの仕事を掛け持ちしている。一つは会員制スーパーマーケット、サムズ・クラブでの試食販売の仕事。もう一つはゴルフクラブのカフェで簡単な調理や給仕をする仕事だ。サムズ・クラブのは時給10ドル。ゴルフクラブは時給7.25ドルの最低賃金に毛が生えた程度。


パローム氏は現役時代を目いっぱい働いてきた。住宅ローンを返し、子供たちを大学にやった。

そして、大半の米国民と同様、老後のための貯金は十分にできなかった。裕福なベビーブーマーたちですら、定年を迎えた時に貯金は多くの場合、働いていた時の年収の10−20倍にはほど遠い。

投資の専門家によれば、これは老後の生活水準を維持するための必要額だ。




収入が5万ドルから十数万ドルの中流の家計では特に厳しい。パローム氏がやっと貯めた9万ドルは2008年の金融危機で目減りし、同氏は生活水準を維持するために働かなければならないことに気付いた。数十年ではないまでも、まだ何年も寿命が残っている同氏は、とにかく見つかった仕事をすることにした。


それでも、若々しい「おじいちゃん」でいつも楽観的な同氏は自分を幸運だと思っている。健康で仕事があり人の世話にならずに生活することが可能だからだ。パローム氏の一日の仕事が終わるのは午後8時。

その少し前にゴルフクラブのキッチンの床をモップで掃除する。「それも仕事のうちさ」と同氏。「自分の仕事には敬意を持たなくちゃいけない。ネガティブになるくらいならしなければいい」と言い切った。


米国の低所得層はかねてから、老後は主に社会保障制度に頼った苦しい生活を強いられたが、教育水準が高く報酬も大きい中産階級には豊かで充実した老後が待っている、と信じられている。
しかし現実は全く違う場合が多い。専門職や企業の管理職として現役人生を送った高齢者が、低賃金の職を奪い合うようになっている。政府データによれば、65歳以上の米国民のうち約720万人が昨年は雇用されて働いていた。10年前に比べ67%増えている。


これから高齢者の仲間入りをする55−64歳の人を世帯主とする家計を見ると、確定拠出型年金プラン401kの残高は2011年に平均12万ドルだった。ボストン大学の退職研究センターのデータが示している。死ぬまでに資金が底をつかないために専門家が勧める4%を毎年取り崩すとすると、年4800ドルになる。
AARP(全米退職者協会)の11年の調査で50−64歳のベビーブーマーたちの半分が、安心して引退できる日なんて来ないと思うと答えたのも無理はない。優雅な退職生活は過去のもののようだ。



posted by パセリ at 18:21| 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする