2010年12月21日

水嶋ヒロ「KAGEROU」人気を斬る! 緊急覆面記者座談会

 俳優の水嶋ヒロさん(26)が本名の齋藤智裕名義で書いた処女小説「KAGEROU」は、発売2日にして発行部数が68万部の大ヒット。インターネットのブックレビューなど、一部で酷評もされているようだけど、さて、どんなものなのか。文芸担当記者がブームを一刀両断。

 デスク ぶっちゃけ、どう思った? 読んでみて。

 記者A 処女作というのはたいてい身の回りのことを書いてしまう人が多いけど、主人公を40代のリストラ男という設定にしたところに志の高さを感じました。

 記者B 志は高いかもしれないけど、失敗したらしようがないよ。人物造形が甘い。主人公を軸に物語が展開するんだから、もう少し丁寧に人物を描かないと、誰と対峙してもテンションが上がらない。文章表現も含めてあちこち類型的なのは、普遍性と通じるからまだ我慢できるけど、深みのなさは致命的。文芸作品としてどうこういうレベルではないでしょ。

 デスク ポプラ社の宣伝では《「命とは何か?」「人間の価値とは何か?」という深遠なテーマに、ダイナミックな物語構成で鋭く切り込む》ことになってるけど、鋭さには欠けたってこと?

 記者A ライトノベルとしては、そう悪くないと思いますよ。とても読みやすい。オチも含めて構成もちゃんと考えられてる。

 記者B それにしても、文学賞を取って何十万部も売れるような小説かねえ。

 記者A 賞を与えたのは出版社だし、売れる売れないも作家の責任じゃないでしょう。すごくいい作品だって売れないことはあるし、逆もまたありますよ。

 記者B ちょっと待った。それは「いい作品ではない」という意味で言ってるの?

 記者A 違いますよ。この作品が素直に受容されるなら、文芸作品や文学賞について、それから出版界のありようについて、新しい視点を持たなくちゃいけないかなぁ、と考えたりはしますけど。


川村明宏の視力回復
posted by パセリ at 21:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする